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東京地方裁判所 昭和49年(ワ)3740号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一まず原告の表示の訂正の是非について判断する。

1 <証拠>によると、金光利一は金融業者であり、奥平原理は右金光利一の使用人であり、右両名はいずれも別個の実在する人物であること、右金光栄一は原告主張のとおり、昭和四六年五月二日、長井と酒井に対し三〇〇〇万円を交付したが、右金員は従前(第五回口頭弁論期日まで)原告が主張していたように、奥平原理が出捐したものではなく、金光栄一自身が出捐したものであること、金光栄一は金融業を営んでいる関係上、税金対策のために、その使用人であつた奥平原理の名前を借りることがあつたが、右の貸金についても税金対策のため、その貸主として奥平原理の名前を借り、自分は奥平原理の代理人として行動したこと、以上の事実が認められる。

2 そして、本件請求原因における主張においても、最初から奥平原理と金光栄一とを別個の人格者としてとらえ両者を明確に区別し、前者を前記貸金の出捐者、後者を右出捐者の代理人としており、従つて本件訴訟において右両者が奥平原理こと金光栄一という関係にあるとは到底いゝ得ないものであるし、<証拠>によると、河野義から奥平原理に対してなされた本件土地の処分禁止の仮処分申請事件(東京地方裁判所昭和四七年(ヨ)第四七七二号事件)及び請求原因1記載の各登記の抹消登記手続を求める土地所有権移転登記抹消等請求事件(東京地方裁判所昭和四七年(ワ)第七一九八号事件)においても(右仮処分の裁判官及び訴状の副本は奥平原理に対し送達されたはずである)、奥平原理は被申請人あるいは被告として行動し、右登記抹消等請求事件においては請求を認諾したものと認められる。

3 右(一)及び(二)の各事実に照らすと、奥平原理と金光栄一は共に実在する全く別個の人格であり、金光が奥平原理の氏名を通称として用いていたものでははないと認められる。

4 そして、本件記録によると、訴状において原告の氏名が奥平原理と表示され、訴提起に際して提出された訴訟代理人選任のための委任状にも奥平原理の氏名が記載されたうえ奥平の印が押捺されており、かつ、原告より金光栄一を証人として契平原理を原告本人として各尋問の申請がなされ、金光栄一を証人として尋問したことが明らかである。

してみると、本件において原告として表示されているのはもとより、原告として行動しているのも金光栄一とは別人格である奥平原理であると認めるのほかない。

5  従つて原告の表示を奥平原理から奥平原理こと金光栄一に改めることは、単なる表示の訂正には当らず、これを認めることはできない。

(川上正俊 渋川満 福田剛久)

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